小池真理子「墓地を見おろす家」 [*読書ノート(国内)]
【※この日記は別サイトで2008年12月22日にアップしたものを転記しています】
12月2日から読み始め、12月9日読了。
小池真理子さんの作品を読むのは今回が初めて。
「墓地を見おろす家」ってずっと近年の作品だと思い込んでたけど、実は1988年に発表されたものだったんですね。ホラー小説も読むようになったのってほんの何年か前からだから有名な作品にもかかわらず全然知らんかった…(汗)。
この本を読んだ人の感想やレビューを見ると、「すっっっごく怖い!!!」って人もいれば、「全然怖くなかった」「拍子抜け」って人もいる。読む人によってあまりにも感想がバラバラなので、一体どんなストーリーなんだろう?と気になり出したのがこの本を読んでみようと思ったきっかけです。
全部読み終えて…う〜ん…文章は読みやすいし、部分部分で引き込まれる場面はあったけど、私も正直、ものすごく怖い!とまでは思えなかったな。
主人公夫妻にもあんまり共感出来なかったし…。不倫はダメだろ、やっぱり…。
でも、ラスト3ページのあの終わり方は何となく好きだったりします。
【↓↓↓以下、微妙にネタバレなので一応ここで切ります↓↓↓】
筒井康隆「懲戒の部屋」 [*読書ノート(国内)]
【※この日記は別サイトで2008年12月18日にアップしたものを転記しています】
11月11日から読み始め、12月2日読了。
筒井氏の自選ホラー短編集。
収録作品は、
『走る取的』『乗越駅の刑罰』『懲戒の部屋』『熊の木本線』『顔面崩壊』『近づいてくる時計』『蟹甲癬』『かくれんぼをした夜』『風』『都市盗掘団』
前々から掲示板やブログで「『乗越駅の刑罰』が怖い!」って感想をよく見かけていたので、ずっと気になっていて一度読んでみたいなあと思ってた。
一通り読み終えて……うわぁ…。
やっぱりこの話が一番怖い…というかここまで後味悪いとは…。あまりにも理不尽過ぎて背筋が凍りまくり…。
あと、既に読んだ人ならわかると思うけど、猫好きな人には絶対勧められないよね…。
でも『乗越駅の刑罰』、気に入りました。
『走る取的』や『懲戒の部屋』も怖かった…。
サイコ野郎&サイコ女ばっかりで頭がクラクラ。
なんて哀れな主人公達…(泣)。
上記の3編は、理不尽な恐怖をこれでもか!って感じで描き切っていて、とても面白くあっという間に読めました。この話に出て来るようなやつらとは絶っっっ対出会いたくないけどな(笑)。
『顔面崩壊』『蟹甲癬』は最後まで読めない人多いかも。
読んでる間、顔がムズムズしっぱなしでした。
『近づいてくる時計』『風』は不思議な読後感がいいなあ、と。
あと、巻末の大槻ケンヂの解説が笑える!
大槻ケンヂ「リンダリンダラバーソール」 [*読書ノート(国内)]
【※この日記は別サイトで2008年12月17日にアップしたものを転記しています】
11月7日から読み始め、11月24日読了。
'80年代後半から'90年代にかけてのバンドブーム全盛期=まさに青春時代!…だった自分としては、読んでるうちにあれやこれやと思い出して、自然とテンション上がりました。
筋肉少女帯の曲ももちろん好きだったし(でも筋少は三柴さんが在籍してた頃の方が良かったな…)、ナゴム、トランス、パンク、ロフト、屋根裏、La.mama、野音、宝島、FOOL'S MATE、DOLL、ロキノン、ホコ天、イカ天、法政大学&中央大学学園祭、自主制作レコード&ソノシート、それに当時大好きだった色々なバンド…。
もう書き出したらキリがなくなっちゃうんだけど、とにかく懐かしいキーワード&バンド名がてんこ盛りで楽しく読めました。
また、オーケンや筋少の周りで起きた笑えるエピソードばかりではなく、ブームが去った後のあっけなさや儚さもしっかり描かれていて、読み進めていくうちにふっと切なくなってしまう場面も…。
まさにブームの渦中で経験・体感したバンドマンでないとわからないであろう『いびつな、のび太の万能感を手に入れてしまった』時の高揚感と不安感みたいなものがよく伝わってくる良作だったように思う。
あと、作中に時々登場するコマコ(当時のオーケンの彼女)がとにかく可愛い!
ホントにイイ子だよな〜。
本編の最後の最後で彼女のセリフに思わずホロリとさせられました。
話変わって、バンドブーム…というか、昔のインディーズのこと。
あの独特のゴッタ煮的雰囲気が自分にはたまらなく魅惑的な世界に思えた。
とにかく荒っぽいアナーキーなバンドやら、パフォーマンスだけ見たらバカっぽいけど、歌詞などに何処となく頭の良さを感じさせる、人を食ったようなバンドも沢山いた。
赤痢、原爆オナニーズ、ゲロゲリゲゲゲみたいなスゴイ名前のバンドも多かったし、ばちかぶりの歌詞で「ウ●コ食べたら40万円」とか今思い返すとワケわかんないんだけど(笑)、そんなゲテモノっぽさややりたい放題な雰囲気も含めて何もかもがカッコいいと思ってた。
でも当時(高校〜短大時代)は、当然インターネットなんてないから音楽情報は数少ない情報誌や自分の足で探すしかなかったし、お小遣い増やすためにバイトはしてたけど学生だから稼げるお金の額なんてたかが知れてるし、おまけに今と比べて交通の便の悪いところに住んでたもんだからライブハウスや自主制作盤扱ってるレコード屋なんてそうそう足を運べないし。
…と今と比べたら不自由な面も多かったけど、それでも自分のお気に入りのバンドを探したり、少ないお小遣いをやりくりして少しずつレコードを買い集めたり、ライブに通うのはとてもとても楽しかった。
反面、改めて振り返ってみると、我ながらイタい言動や行動も多く、思わず赤面するような思い出も決して少なくない…(笑)。
…って、後半は本の感想じゃなくて、まるっきりただの自分語りになってるじゃないか!
しかもここぞとばかりにやたらチカラ入ってるし(笑)。
まあ、日記だからそれも別にいいよね…と最後に正当化してみる。
寮 美千子「ノスタルギガンテス」 [*読書ノート(国内)]
【※この日記は別サイトで2008年11月15日にアップしたものを転記しています】
11月5日に読み始め、11月10日読了。
まず、表紙が美しい。緑の森の写真で色が綺麗。装丁にも拘ったのかな。
この本が置かれていたのは児童文学書コーナーだけど、内容は大人向けの小説…というか、現在大人である自分達が子供だった頃の記憶や思いを呼び覚ましつつ、そっとひとりで読んでおきたい物語という位置づけな気がする。
内容は、とあるシティに住む主人公の少年のお話。
いつもヒステリーを起こしてはあらゆるものを処分し続けるママに夏休みの工作展のために作ったメカザウルスを燃えないゴミとして無理矢理捨てられてしまう。
でも、主人公にとってメカザウルスは「特別」だったからどうしても諦めきれない。
そこで主人公は、あいつ(メカザウルス)にふさわしい場所を探し求め、仲間うちで「隠れ家の木」と呼ばれる木の高い高い部分にあいつをくくりつけることを思いつく。
だが、そのことをきっかけ(?)に主人公の身の周りで奇妙な現象が次々と起こり始める。
(以下、裏表紙側のオビより)
『だけど、ぼく、そんなつもりじゃなかった。こんなことになるなんて思ってもみなかった。ぼくのせいだろうか。そうかもしれない。最初のひと滴を落とすのが神だとしたら、そして、そのひと滴から宇宙が生まれるのだとしたら、ぼくはきっとその神だ。……たとえぼくが、そんなつもりじゃなかったとしても。そう望まなかったとしても。』
この一文にも震えるんだけど、他にもぐっとくるような言葉の選び方や繋げ方にとにかくシビレてしまう。素敵だ、寮美千子さん。
ちなみにヴィレッジヴァンガードでは「唯一無二の廃墟系児童文学」と大絶賛で紹介されてます。
…あ〜ホントはもっと感想的なことをいっぱい書こうと頑張ったんだけど、ボキャ貧なため、何度書き直しても陳腐で的外れな文章になってしまう…
とにかく素晴らしい本であることは間違いないので、「興味が湧いたらぜひ読んでくれ!」としか書けない自分。
【11月15日追記】
この日記を書き終えて、UP前に「ノスタルギガンテス」で検索かけてみたら、この本について、全く同じではないけど部分部分で同じような内容を書いていらっしゃる方を発見! 当然、私の拙文よりその方の方がずっと的確でレベルも高い。
一瞬どうしようか迷ったけど…慌てて書き直すのも余計アレなのでこのままあげちゃおうと思います(決してその方の文を真似たわけではないです…と言い訳(^^;)。
J・G・バラード「結晶世界」 [*読書ノート(海外)]
【※この日記は別サイトで2008年11月14日にアップしたものを転記しています】
創元文庫から出ている海外SF小説。
もともと読解力が乏しいということもあって、正直、海外小説は難解そうなイメージがまだまだ強かったりする。でもここ最近は読書の神様?が降りて来てるのか、とにかくいろんな本を読んでみたい!という欲求の方が強いので、掲示板や書評などを見て「これは面白そう」と思ったら、とにかく買う or 図書館で探して借りて来ちゃいます。
で、J・G・バラードの「結晶世界」。
10月26日に読み始め、11月5日読了。
この作品を読む前は、「森の結晶化というクライマックスをいかにお耽美にドラマチックに描き上げているのかしら」なーんて一人で勝手にアホっぽい期待をしてたんだけども(^^;
少なくともお耽美とか陶酔とかそういう世界ではなかったよな…。
自分の身の回りのあらゆるものだけでなく、人間も結晶化してしまうという非常に恐ろしいお話で。
でも、結晶世界は美しい。
異常だけど美しい、怖いけど美しい。
結晶化の様子はこれでもか!ていう位、何度も細かく描かれている。
(読み終えた後に振り返ってみると、物語の約半分は結晶化の情景描写に費やされてたんじゃないかって位で…)
特に物語内で一番の中心舞台となる森の中は、とてつもなく魅惑的で美しい世界に感じられる。
しかも登場人物はみんなどこかトチ狂ってて、彼らがそれぞれ破滅(と思わない人もいるかも)に向かっていく様も見放せない。
そもそも主人公からして、忘れ得ぬ人妻を追っかけてきたのをきっかけにこの森に入ることになっちゃったわけで。
サンダーズ(主人公)は、結局あの結晶世界に魅入られちゃったんだね。あの後一体どうなったんだろう…。
どっちにしてもあのままいくといずれ世界は結晶化されて肉体とか時間とかそんなものは永遠にどうでもよくなってしまうんだろうから(怖っ)、全ての人間は遅かれ早かれ…ってことなのかな。
ちなみにもうひとつの感想として、実をいうと途中までは…正直、読み進めるのが退屈でした(^^;
全体的に淡々と話が進むので、仕事帰りの電車の中で座って読むとついウトウトしたり…(笑)。
でも、読み終えた後に「アレは伏線だったのかあ!」と気づいたこともあったし、こういう小説って1回目より2回目に読む方が面白いのかも。
新井素子「グリーン・レクイエム/緑幻想」 [*読書ノート(国内)]
【※この日記は別サイトで2008年10月19・27日にアップしたものを転記しています】
新井素子の名前はずっと前から知っていたものの、実際に作品を読んだのは本当に最近だったりする。初めて読んだ「ひとめあなたに…」が気に入ったので、2冊目はこの本を選んでみた。
子供の頃からSF好きだった夫は、中学生ぐらいの時にこの作品も読んだことがあると言ってたけど、読む楽しみが減ってしまうので、感想はまだ聞いてない。
で、読んだのはまだほんの30ページくらい。
が、序盤の序盤でいきなりジャブが!!!
(以下、本文より抜粋)
『あたしは慌てて水を運ぶ。きゃん、あたしのドジ。いくらピアノに熱中してたからって、お客がはいってきたのにも気づかないなんて。』
『きゃん、あたしのドジ』
………。……………。
…いやいやいや、ま、まだつっこまないぞ。
この作品は、ストーリーが泣けるって聞いてるから絶対最後まで読む。
でも時代を感じる言い回しだ。80年代ネタ・昭和ネタ大好物な自分としてはこういうフレーズにも目がないんだけどね。
なんでもこの作品は、作者が大学在学中(1980年)に発表されたのだとか。
もしかして30代後半の今より、中高生時代に読んでおくべき小説だったんだろーか?…と思いつつも、新井素子ワールドを楽しんでみたい。
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最初の『グリーン・レクイエム』の方は、SFというよりほぼ100%ラブストーリー。
子供の頃に迷い込んだ山奥の洋館での不思議な出会い、植物、音楽(ピアノ)、許されざる恋、悲しい結末…とお話のイメージとしては私も好きな世界。
でも、文体がかなり独特だし、何よりも「てにをは」省略されまくりだから、話の流れを理解するのにちょっと時間がかかってしまった。
ラストには泣いたよ。
これ読んだのがまだ中高生の頃だったら、もっとわんわん泣いてたかな。
ただ、主人公とヒロインの会話がやっぱりちょっと…。
「魚さん、ぱく」「お、あっち。ざりがにだぜ」
読んでるうちにこっちがこっ恥ずかくなってきて、一人で部屋を何度も転がったわ。
一番のヒットはやっぱり「きゃん、あたしのドジ」。
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続編の『緑幻想』の方は、全部つまんないってことはなかったけど…途中で引き込まれる場面は幾つかあったけど…今のところは「一回読んだらもういいや」というのが正直な感想かな。
(新井素子ファンの方、もしこれ読んでたらごめんなさい)
…とはいっても、『グリーン〜』の時に描かれた愛とはまた違って、大きな意味での「愛」がテーマとして取り扱われていたり、「植物と人類の関係」など現在の地球の環境問題ともリンクするようなエピソードもあったりして、なかなか考えさせられる部分が。
なので、少なくとも「読まなきゃよかった」という風には思っていないです。
新井素子の作品は、まだ読んでみたいものがいくつかあるので、時間をおいてまた本屋か図書館でチェックしてこよう。
ガストン・ルルー「ガストン・ルルーの恐怖夜話」 [*読書ノート(海外)]
【※この日記は別サイトで2008年9月29日・10月17日にアップしたものを転記しています】
ガストン・ルルーの恐怖夜話 (創元推理文庫 (530‐1))
- 作者: ガストン・ルルー
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1983/01
- メディア: 文庫
9月28日から読み始め、10月17日読了。
時間かかってしまったけどやっと読み終えた。
やっぱり途中で仕事期間に入ると、ただでさえ遅い読書スピードがガクッと落ちるなぁ…。
仕事のある日は、本読むとしたら通勤電車に乗ってる間だけなんだけど、朝はともかく帰りの電車に乗る頃は完全に目が疲れてるから、文庫本の活字はやっぱキビシイ。どんなに帰りが遅くてもネットは絶対やるクセに(笑)。
ちなみにあの有名な「オペラ座の怪人」の方は未読。
この短編集が自分にとっては初めてのガストン・ルルー作品。
もともとこの本を読もうと思った理由は『胸像達の晩餐』という作品に一番興味を持っていたから。
恐怖小説といっても、内容はさすがに古風というか露骨でショッキングな怖さではなかった(あ、でも苦手な人にはやっぱり向かないかも)。
中でも一番印象的だったのは、やっぱり『胸像達の晩餐』。
このタイトルの意味がわかると更に怖気が…。
頭の中で映像化してみる…ダメだ…ヤバい、おぞましすぎ。
(↑や、面白かったけどね)
次に怖かったのは『火の文字』。
なんか地味に怖いというか、読み終わった後でジワジワくる感じ。
あの「あるじ」は一生あの言葉につきまとわれるのか…。
『ヴァンサン=ヴァンサンぼうやのクリスマス』。
これは怖いというより、最後の最後で切なくなってしまった。
なんかここのところ猟奇ものばっかり読んでるような気が(笑)。
新堂冬樹「吐きたいほど愛してる。」 [*読書ノート(国内)]
【※この日記は別サイトで2008年9月26・28日にアップしたものを転記しています】
ああもう最初の『半蔵の黒子』だけ読み終えたところで、タイトル通り吐きたくなってきた。…って、アマゾンのレビューで予備知識仕入れて了解したうえで読んでるんだけどね(^^;
最初は一日一編ずつにしようかとも思ったけど、結局一気に読み切ってしまった。
『半蔵の黒子』…超ポジティブ思考な主人公。突き抜け過ぎだよ…。
『お鈴が来る』…最後の4行が怖すぎる。
『まゆかの恋慕』…唯一のオアシス???
『英吉の部屋』…この主人公が一番鬼畜だ…半蔵が一瞬可愛く思えた。
全編とも描写エグくて気持ち悪くなるから、人に勧めるというのはさすがに気が引けるけど、文章そのものはスラスラと読みやすかったな。ストーリーにも引き込まれた。
たしかに内容は「純愛小説集(とち狂っちゃってるけど)」でありました。