ひとり美術館ハシゴ【40】 [*アート鑑賞]
3月19日(水)は、
森アーツセンターギャラリー、森美術館に行って来ました。
●森アーツセンターギャラリーで「ラファエル前派展」を観る
(三菱一号館美術館「ザ・ビューティフル」相互割引を利用)
↓
●森美術館で「アンディ・ウォーホル展」を観る
(「ラファエル前派展」セット鑑賞割引を利用)
…と、今回はこんな感じの流れで2館を回りました。
■ 森アーツセンターギャラリー ■
「テート美術館の至宝 ラファエル前派展 英国ヴィクトリア朝絵画の夢」
『英アート界のスキャンダル、待望の来日!』
ヴィクトリア朝イギリスの荒ぶる若者たち(!?)の祭典「ラファエル前派展」。
これもずーっと前から楽しみにしてました!
1848年、ロンドン。
保守的なアカデミズムに不満を抱く若き芸術家たちによって、
絵画の刷新を目指す「ラファエル前派兄弟団」が結成された。
彼らはラファエロより前の、
素直で誠実な初期ルネサンス芸術を理想とする懐古的な面がある一方で、
慣例を破る新しい表現を展開し、センセーションを巻き起こす。
社会から猛反発を受けながらも、次第に彼らの芸術は認められていったが、
グループとしての活動は長くは続かなかった。
芸術性の違いや私生活の揉め事(モデルを巡る恋愛関係入り乱れ過ぎ…笑)から、
1850年代半ばにはそれぞれ別々の道を歩み出す。
今回の企画展では、このスキャンダラスなムーヴメントとその後の展開を、
歴史、宗教、風景、近代生活、詩的な絵画、美、象徴主義の7つのテーマに分けて紹介。
ロンドン・テート美術館の所蔵品より、
ミレイ、ハント、ロセッティらの傑作を含む72点が一堂に会する
まさに「ラファエル前派」の決定版です。
彼らの絵の魅力は…
絢爛な美しさと豊かな個性を兼ね備えた女性たちを巡る
複雑なドラマに想像力をかきたてられたり、
自然をありのままに見つめリアリズムに徹した細やかで精彩な描写に見入ったり、
絵画に込められた暗示を読み解く面白さを楽しんだり。
中には挑発的な主題の作品もあって、飽きることがありません。
一番楽しみにしてた、
●ジョン・エヴァレット・ミレイ『オフィーリア』(1851-1852年)は、やっぱり最高!
運良く人が少なくなったタイミングを狙って、
チャンス!とばかりにひたすら見入り倒しましたよ(笑)。
(この絵をみた夏目漱石は『草枕』で「風流な土左衛門(どざえもん)」と評したそうな。
言い得て妙ではある…笑)
他にも良かった作品は…
紫・青・緑の色彩が幻想的に浮かび上がるような美しさをもつ
●アーサー・ヒューズ『4月の恋』(1855-1856年)、
女性の複雑な感情への深い関心を一枚の絵にまとめあげた
●フィリップ・ハーモジニーズ・コールデロン『破られた誓い』(1856年)、
今回のメインビジュアルでもある
●ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ『プロセルピナ』(1874年)、
同じくロセッティの『聖なる百合』(1874年)、
ディテールについて苦悩し、制作に20年をかけ、没する前年に完成させた
●エドワード・バーン=ジョーンズ『「愛」に導かれる巡礼』(1896-1897年)。
そしてそして、今回は絵画だけでなく、ロセッティの絵の額縁デザインにも注目!
ぶら美(BS日テレ『ぶらぶら美術・博物館』)の
「ラファエル前派展」特集(2月21日放映)の時に、
山田五郎さんが教えてくれたんだけど、
額縁のデザインもロセッティ自身が手掛けていたそうで、
モチーフには日本の家紋からインスピレーションを得たものも多いのだとか。
五郎さんの解説がなかったら、絵画にばかり気を取られて、
額縁の鑑賞までアタマ回ってなかったかも…(^^;
美術館ではこういう楽しみ方もできるんだ!と教えてくれた五郎さん、ありがとう☆
当然、図録は買い!
ポストカードは、特に気に入ったものを5枚。
******************************************
「ラファエル前派展」鑑賞後、
一旦外に出てマクドナルドかスタバ辺りで休憩しようと思ってたら、
ちょうど会場の外に『アンディ・ウォーホル・カフェ』の案内板が。
矢印に従ってフラフラ向かってみたら、ポップでキッチュで可愛いカフェを発見!
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコのアルバム大好きな私は、
もっちろんバナナケーキをいただきました☆
▼すべてのテーブルにちょこんと置かれたキャンベルのスープ缶
******************************************
■ 森美術館 ■
「森美術館10周年記念展 アンディ・ウォーホル展:永遠の15分」
もはや説明するまでもない、20世紀を代表するアーティスト&ポップ・アートの先駆者。
約400点もの絵画、写真、シルクスクリーン、彫刻、資料などを展示する、
日本では過去最大規模の回顧展。
タイトルの「永遠の15分」は、
『将来、誰でも15分は世界的な有名人になれるだろう』という
ウォーホルの言葉に由来。
こっちの来場者は、若者カップル率が圧倒的に高し。
有名過ぎる「キャンベル・スープ缶」シリーズ、
マリリン・モンローなどを描いた「スターの肖像」シリーズなど、
ウォーホルの代表作ともいえる名作の数々。
…も良かったんだけど、私が特に印象に残ったのは、
通信社が配信する衝撃的で恐ろしい写真を基に制作された
「死と惨事」シリーズの中の「電気椅子」。
殺風景な部屋の中にポツンと電気椅子があるだけの写真なんだけど、
そこで何が起きたのかを想像するとゾクッとする。
それと同時に、
自分自身のなかに潜む覗き趣味的反応を見透かされているような気も。
「酸化絵画」シリーズは斬新過ぎた。
銅の顔料をたっぷり塗ったカンヴァスの上に放尿することによって制作。
この作品には数多くの「共同制作者(ウォーホルの友人やスタジオの助手など)」がいて、
制作者が食べたもの、飲んだものの違いによって異なる結果が得られるのだとか。
まさに「尿を芸術に変える」錬金術師たち!
いたずら心から始まったらしいけど、アートとして世に送り出しちゃうとこがスゴイ。
シルバー・ファクトリー(NYにあったウォーホルのスタジオ)を
部分的に、ほぼ原寸大で再現した空間もカッコよかった。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコのフィルム上映もあり(嬉!)。
〈シルバー・ファクトリーで1966年1月に行われたバンドのリハーサル風景を収めたもの〉
さらに、「タイム・カプセル」と称して、箱に収められた、
ウォーホルの私的な所有品(書簡、雑誌や新聞、写真など)の中から約300点を公開。
なかには日本に関するものも含まれてて、足袋が2足もあったのにウケた。
一説によると、ウォーホルはモノを捨てるのが苦手だったそうですよ。
アートも私生活も、知れば知るほど面白いお方。
正直、最初のうちは「ラファエル前派展」の方が個人的メインだったので、
こっちは鑑賞だけ、図録は特に買わないでもいっかと思ってたんだけど…。
ウォーホル展もあんまり素晴らし過ぎ&あんまりカッコ良過ぎるもんだから、
即決で図録買っちゃいましたよ。
付箋紙やレターセットもセンス良し。お小遣いに余裕があれば買いたかった…!
▼六本木ヒルズ森タワー52階のセンターアトリウムにて。
「アンディ・ウォーホルによるBMWアート・カー」(1979年)。
ポップ・アートを全身にまとった唯一無二のレーシング・マシン。
写真撮影OK!
こんにちは。
私も六本木ヒルズ・森アーツセンターギャラリーでラフアエル前派展を見てきました。
ラフアエル前派の画家たちのたくさんの作品を系統的に鑑賞できるのは珍しく、ミレイ、ロセッティ、バーン・ジョーンズなど出品されていた多くのの作品を思い出しながら、読ませていただきました。
保守的で停滞気味のロイヤル・アカデミーに反乱を起こし、新しい精神で芸術を創造しようとした「ラフアエル前派」の画家たちの気持ちには共感しましたが。印象派、フォービズム、キュビズムのような明確な理論や絵画手法を持った芸術運動でなかったラファエル前派は、この画家の感性や市資質の違いから大きな芸術潮流には育ちませんでしたが、ミレイ、ロセッティ、バーン・ジョーンズの魅力ある作品群から、画家の独特の自意識や美の感性を楽しむことができました。
今回の美術展で漠然としていた「ラフアエル前派」の全体像が見えてきたように思い、個々の画家の魅力も含めて「ラフアエル前派」について私なりにまとめてみました。読んでいただけますようでしたら、ご感想、ご意見などどんなことでも結構ですから、ブログにコメントなどをいただけると感謝します。
by dezire (2014-03-28 07:36)