カート・ヴォネガット・ジュニア「タイタンの妖女」 [*読書ノート(海外)]
'09年12月1日から読み始め、'10年2月1日読了。
読み終えた後、泣きました。
わんわん号泣というより、後になってからふとした折にこの小説の中の言葉を断片的に思い出し、そうすると目の奥が熱くなってきて…という感じで。
本編のあとがきでは「とてもスピーディに」「ほとんど自動筆記に近いほど」の速さで書き上げたという作者自身のコメントが紹介されています。
確かに、話の舞台も地球→火星→水星→タイタン(土星が有する九つの月の中でも最大のもの)→再び地球…とあちこち目まぐるしく変わるし、そこで起きる様々な出来事も一見突拍子もない展開の連続…といった印象を最初のうちは受けていたかも。
でも、読み進めていくうちに主人公の悲しい行く末が行間から読み取れるような気がして、最後の方ではとにかく主人公を見守り抜きたい気持ちでページをめくってました。
特にラストの主人公の会話がもう切なくて…。
そこで語られてる言葉自体は、表現としてはありきたりかもしれないけど、どうしようもない過酷な運命と長い長い流浪の末に辿り着いた先の最後の言葉があれかと思うと……。
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この作品、爆笑問題の太田光氏も大絶賛してますね。
なんでも彼等の事務所「タイタン」もこの作品名に由来しているのだとか。