J・G・バラード「結晶世界」 [*読書ノート(海外)]
【※この日記は別サイトで2008年11月14日にアップしたものを転記しています】
創元文庫から出ている海外SF小説。
もともと読解力が乏しいということもあって、正直、海外小説は難解そうなイメージがまだまだ強かったりする。でもここ最近は読書の神様?が降りて来てるのか、とにかくいろんな本を読んでみたい!という欲求の方が強いので、掲示板や書評などを見て「これは面白そう」と思ったら、とにかく買う or 図書館で探して借りて来ちゃいます。
で、J・G・バラードの「結晶世界」。
10月26日に読み始め、11月5日読了。
この作品を読む前は、「森の結晶化というクライマックスをいかにお耽美にドラマチックに描き上げているのかしら」なーんて一人で勝手にアホっぽい期待をしてたんだけども(^^;
少なくともお耽美とか陶酔とかそういう世界ではなかったよな…。
自分の身の回りのあらゆるものだけでなく、人間も結晶化してしまうという非常に恐ろしいお話で。
でも、結晶世界は美しい。
異常だけど美しい、怖いけど美しい。
結晶化の様子はこれでもか!ていう位、何度も細かく描かれている。
(読み終えた後に振り返ってみると、物語の約半分は結晶化の情景描写に費やされてたんじゃないかって位で…)
特に物語内で一番の中心舞台となる森の中は、とてつもなく魅惑的で美しい世界に感じられる。
しかも登場人物はみんなどこかトチ狂ってて、彼らがそれぞれ破滅(と思わない人もいるかも)に向かっていく様も見放せない。
そもそも主人公からして、忘れ得ぬ人妻を追っかけてきたのをきっかけにこの森に入ることになっちゃったわけで。
サンダーズ(主人公)は、結局あの結晶世界に魅入られちゃったんだね。あの後一体どうなったんだろう…。
どっちにしてもあのままいくといずれ世界は結晶化されて肉体とか時間とかそんなものは永遠にどうでもよくなってしまうんだろうから(怖っ)、全ての人間は遅かれ早かれ…ってことなのかな。
ちなみにもうひとつの感想として、実をいうと途中までは…正直、読み進めるのが退屈でした(^^;
全体的に淡々と話が進むので、仕事帰りの電車の中で座って読むとついウトウトしたり…(笑)。
でも、読み終えた後に「アレは伏線だったのかあ!」と気づいたこともあったし、こういう小説って1回目より2回目に読む方が面白いのかも。
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