「日の名残り」 [*映画]
●監督:ジェームズ・アイヴォリー
●原作:カズオ・イシグロ『日の名残り』
●1993年/イギリス・アメリカ
2014年8月18日(月)17:30〜20:00、FOX スポーツ&エンターテイメントにて視聴。
カズオ・イシグロの小説は、
『わたしを離さないで』と『浮世の画家』しかまだ読んだことなくて、
この映画を観るとしたら、先に原作読んでからにしようかとも思ったけど、
せっかくCS放映されるというので視聴をば。
英国の名門家に一生を捧げてきた老執事が自身の半生を回想し、
職務に忠実なあまり断ち切ってしまった愛を確かめる様を描いた人間ドラマ。
1958年。
オックスフォードのダーリントン・ホールは、前の持ち主のダーリントン卿が亡くなり、
アメリカ人の富豪ルイスの手に渡っていた。
かつては政府要人や外交使節で賑わっていた屋敷は使用人もほとんど去り、
老執事スティーヴンスの手に余った。
そんな折、以前屋敷で働いていたミス・ケントンから手紙をもらったスティーヴンスは、
彼女の元を訪ねることにする。
離婚をほのめかす手紙に、有能なスタッフを迎えることができるかもと期待し、
それ以上にある思いを募らせる彼の胸に20年前の思い出が蘇る…。
スティーヴンスとミス・ケントンが段々と打ち解け合っていく過程も良かったけど、
どっちかというと、
私情を絡めず、常にプロとしての仕事に徹し続けるスティーヴンスのストイックぶりと、
急速にナチ擁護派・反ユダヤ主義へと傾いていくダーリントン卿、
そして彼らを取り巻く不穏な空気感の方に引きつけられた。
最後まで見終わって、ふと改めて『日の名残り』って文字に目をやると、
このお話になんとピッタリなタイトル(邦題)であることか。
めちゃくちゃしっくりきた。
ただ、話の進みが平坦なため、寝不足状態でみるとうっかり寝ちゃいそうに…(^^;
睡眠しっかり取ったうえで鑑賞に臨むが吉。
「スターリングラード」(1993年) [*映画]
●監督:ヨゼフ・フィルスマイアー
●1993年/ドイツ・アメリカ
2014年8月14日(木)16:45〜19:15、イマジカBSにて視聴。
今回はジュード・ロウ主演作の方じゃなくて、1993年版の『スターリングラード』。
旧ソ連の工業都市であり、第二次大戦における独ソ戦の激戦地スターリングラード。
1942年、この地に派兵され、ソ連との攻防戦で壊滅したドイツ第6軍精鋭部隊の有様を
ドイツ側からの視点で描いている。
マイナス50度の極寒の中、寒さと飢えに苛まれる絶望的な戦い。
栄光とは程遠く、ただただ戦争の理不尽に翻弄されるばかりの若き兵士たち。
お涙頂戴の演出なんて一切なし。
そこにあるのは、苛酷過ぎる現実と苦悩だけ。
ここで描かれている兵士たちは(主人公ですらも)「将棋の駒」でしかない。
冷然と続く展開。観れば観るほど心は重く冷えていく…。
観終わった後、このような悲惨な争いは二度と起こって欲しくないと強く思う。
この映画でひとつ残念だったのは、
ドイツ語・ロシア語のセリフの量に対して、明らかに少な過ぎる日本語字幕!
私、この映画のディテールを絶対きちんと把握できてないわ;;
もっと丹念に訳してくれた字幕付きが出たらもう一度観たい。
「不安の種」 [*映画]
●監督・脚本:長江俊和
●原作:中山昌亮『不安の種』『不安の種+(プラス)』
●2013年/日本
2014年8月13日(水)22:50〜翌00:30、チャンネルNECOにて視聴。
原作既に読んでるから、新鮮に怖い!!(←日本語オカシイけど)ってのはなかったものの、
編集とか演出でそれぞれの話を上手く繋げてあるな〜と思った。
でも、あの独特の怖さを存分に味わうなら、ぜひとも原作読むべし!!!
「パルプ・フィクション」 [*映画]
●監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
●1994年/アメリカ
2014年8月13日(水)16:00〜19:00、ムービープラスにて視聴。
右往左往。
時系列シャッフル。
意味があるのかないのかようわからぬ会話。
人が何人も死んでるというのに終始えらいグダグダで、不謹慎ながら笑ってしまう。
なのに・・・格好イイ!!(笑)
面白かったー。
妙〜な中毒性もあって、また観たくなるじゃないか。
聖書の一節を暗唱しながら銃を構える殺し屋ジュールスがイイね。
スーツケースの中身と、全身黒レザーずくめの覆面男の正体も激しく気になるけど…。
これって公開から既に20年も経ってたんですねえ。
遅ればせながらようやっと観ることができましたよ。よかったよかった。
「タクシードライバー」 [*映画]
●監督:マーティン・スコセッシ
●1976年/アメリカ
2014年8月6日(水)10:15〜12:30、イマジカBSにて視聴。
バックに流れるジャズ・ミュージックが良い。
特にオープニングの曲が夜の街並みとやたらマッチしていてカッコ良かった。
荒んだ街ニューヨークを舞台に描かれる、鬱屈した一人のタクシー運転手の狂気。
奇行に奇行を重ねた結果、トラヴィスはある行動に出る選択をした。
一言でいってしまえば「独り善がりの駄目人間」なんだろうけど、
彼の孤独、怒り、嫌悪にこっそり共感してしまう自分。
ただ、好きな娘との初デートにポルノ映画をチョイスしちゃう心理は謎としか…(笑
でもこれって、自分が良いと思えばオールOKで、
相手がどう思うか想像力に欠けてるが故の行動かと考えると悲しく痛々しい。
【以下、ちょっとネタバレ気味???】
↓ ↓ ↓
ラストは、捉えようによっては恐ろしく不気味または皮肉だ。
オープニングとラストが似た映像&音楽であることにも深読みしてしまうなあ。
映画観終わった後、自力でわからなかった部分を補完するために検索しまくると、
詳しい説明や鋭い解釈がたくさんあって目からウロコ。
もう一度観よう!と思った。
「トラヴィスがベトナム戦争からの帰還兵である」ことと
「戦争に負けたアメリカ社会に潜む闇と矛盾」を頭に入れた上で観ると、
この映画の悲しさと恐ろしさに気づかされる。
「フライド・グリーン・トマト」 [*映画]
●監督:ジョン・アヴネット
●1991年/アメリカ
2014年7月29日(火)16:00〜18:30、ムービープラスにて視聴。
女同士の世代を超えた深い友情を描いたハートウォーミングな物語。
(・・・と、ラストでわかる衝撃の事実!!かなりブラック入ってる…)
フライド・グリーン・トマトを名物料理に賑わうカフェ。
店を切り盛りする女性2人を巡る昔話と、
現代の老女と中年女性の交流を交錯させた人間ドラマ。
倦怠期にある夫との関係に失望し、寂しい毎日を送る40代の主婦エヴリン。
ある日、おばへの見舞いで訪れた老人ホームでニニーという老女に出会う。
エヴリンは、ニニーの語る昔話に惹き込まれていく。
それは今から50年前、
最愛の兄を亡くし心を閉ざした少女イジーと兄の恋人だった女性ルースの友情の物語だった。
〈カフェ〉〈女の友情〉といったキーワードから『バグダッド・カフェ』を彷彿としつつ、
こちらは人種差別・女性蔑視など、社会的な問題も織り交ぜた作りになっている。
KKK(クー・クラックス・クラン)も登場。
「トゥワンダ!!」と叫びながら
態度の悪いムカつくギャルの車をボコボコにするエヴリンに笑った。可愛い。
ちなみに、タイトルの「フライド・グリーン・トマト」とは、アメリカ南部の料理名。
まだ熟してない緑のトマトをスライス、
溶き卵をつけ、コーンミール・小麦粉・香辛料などをまぶして
両面を油でこんがりと焼いて出来上がり。
なんか美味しそうだなあ…食べてみたい。
「月に囚われた男」 [*映画]
●監督・脚本:ダンカン・ジョーンズ
●2009年/イギリス
2014年7月11日(金)11:30〜13:30、ムービープラスにて視聴。
デヴィッド・ボウイの息子、ダンカン・ジョーンズの監督デビュー作となるSFドラマ。
この邦題(ちなみに原題は『MOON』)って、
お父さんの主演作『地球に落ちて来た男』(←知ってるのはタイトルだけで未見だけど)に
ひっかけてるのかな?
近未来。
地球のエネルギーは底をつき、
新たな燃料源〈ヘリウム3〉を38万キロ彼方の月で採掘することになった。
大企業「ルナ産業」の従業員サム・ベルは、
燃料源採掘のため、たった一人で月に派遣される。
会社との契約期間は3年。
地球との直接通信は許されず、話し相手は一台の人工知能ロボット・ガーティのみ。
孤独な任務が続く中、
地球で彼の帰りを待つ妻と娘への思いだけがサムの心を支えていた。
そして任務終了まで2週間を切ったある日、サムは自分と同じ顔をした人間に遭遇する。
これは果たして単なる幻覚なのか…。
やがて彼の周りで奇妙な出来事が起こり始める。
登場人物はほぼ、一人二役の役者がひとり。
アイデア勝負の低予算映画。
う〜ん、ネットで人様の感想みると、結構厳しい意見の人も多いね。
「オチに捻りがない」っていわれちゃうと身も蓋もないんだけども、
わかりやすくまとまってて、それでいてもの哀しいお話。好きだな。
ひと昔前風の雰囲気なのも、ワタシ的にはポイント高い理由のひとつ。
短気で、怒りっぽくて、ガサツで、ちょっと情けないサム。
根は決して悪人ではないと思う。
そして、なんと言ってもガーティ!
『2001年宇宙の旅』のHALみたいな行動に走るのか!?と思いきや、
ホロリとさせてくれる良いヤツじゃないの!
ところで、
序盤でサムがみた若い女性と月面でローバー運転中にうっすらみえた人物は
結局何者だったの?????
観た人それぞれの解釈に任せた謎ということで良いんだろうか。
「パンズ・ラビリンス」 [*映画]
●監督・脚本:ギレルモ・デル・トロ
●2006年/メキシコ・スペイン・アメリカ合作
2014年7月9日(水)18:00〜20:30、ザ・シネマにて視聴。
ヴィダル大尉…いろんな意味で凄いな…。
ぺイルマンやパンや大ガエルよりも凄いよ…。
奇妙で、美しくて、残虐で、グロテスク。
夢の中の出来事かもしれないし、どっか現実がねじれちゃっただけかもしれない、
とにかく不思議な物語。
えぐいシーンが多いので、残酷な描写嫌いな方は観ちゃあダメ><
1944年、内戦終結後のスペイン。恐怖政治に覆い尽くされた暗黒の時代。
戦乱で父を亡くした少女オフェリアは、
母が独裁政権軍で大尉を務めるヴィダルと再婚したのを機に、ともに山奥の駐屯地へと移り住む。
母親は妊娠中であった。
途中の山道で奇妙な昆虫と出会い、
これをきっかけに、彼女は現実とは思えない体験をすることとなる。
ある夜、オフェリアのもとに昆虫が現れ、突然妖精へと姿を変えた。
彼女は妖精に導かれ、森の奥にある迷宮へと辿り着く。
そこには牧羊神のパンがいて、
彼女が「地底の王国の姫君」の生まれ変わりであると告げた。
パンの話を信じたオフェリアは、王国へ戻るために必要な3つの試練に挑んでいくが…。
大人たちによって歪められた世界。あまりにも過酷過ぎる現実と恐怖。
なのに、ファンタジックなお話と見事溶け合っていて巧いと思う。
話運びのテンポも良いと思う。
あのラストは、
オフェリアにとって「幸福」だったのかな。「悲劇」だったのかな。
私は、(以下ネタバレ自粛)。
「フェノミナ[インテグラルハード完全版]」 [*映画]
●監督:ダリオ・アルジェント
●1984年/イタリア
2014年7月7日(月)16:15〜18:30、ムービープラスにて視聴。
昆虫と交信できる不思議な能力を持ち、夢遊病者でもある少女を巡る連続殺人事件。
どんでん返しのどんでん返し、そしてまた、どんでん返し!!!
トートツに挿入されるヘビメタなBGMがお茶目。
(この映画辺りから「ホラーとメタル」という新しい図式が確立されたそうで)
イタリアン・ホラーも\(^o^)/イイ!!
子供の頃にテレビで観たような気もするけど記憶にないんだよなあ…(汗
観ておいて良かったわ。
この映画で主役をつとめた当時14歳のジェニファー・コネリー(美少女!)が大人になり、
あの破滅映画『レクイエム・フォー・ドリーム』のマリオン役を演じるわけですね。
ロケーションが行われたのは、スイスのチューリッヒ。
アルジェント監督がここを選んだのは、美しく平和でのどかな反面、
ヘロインによる死亡率が著しく高いという「矛盾」からだったそうです。
「アイズ ワイド シャット」 [*映画]
●監督:スタンリー・キューブリック
●原作:アルトゥル・シュニッツラー『夢小説』
●1999年/アメリカ・イギリス
2014年7月7日(月)13:00〜16:00、ザ・シネマにて視聴。
〈出来心〉って怖いねえ・・・の一言に尽きる。
「難解」といわれがちなキューブリック映画だけど、
自分が観てきた中で、これは比較的わかりやすかった。
解釈が合ってるかどうかはまた別の話としてね…(笑)。
お部屋の内装をはじめ、映像センスの素敵カッコよさは、やはり絶賛に値する!
キューブリックにとっては、結果的にこれが遺作となるのか…。
ストーリーの要ともいえる秘密の乱交パーティー時の儀式?のシーンと、
バックに流れる、禍々しいような神々しいような音楽がかなり好み。
使用されているのは、Jocelyn Pookの『Masked Ball』って曲だそうです。
CD買おかな。
▼Jocelyn Pook『Masked Ball(Long Version)』