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「ブリキの太鼓(ディレクターズ・カット)」 [*映画]


原作:ギュンター・グラス
監督:フォルカー・シュレンドルフ
1979年(ディレクターズ・カット:2012年発売)/西ドイツ・フランス

この映画も長年気になってた作品のひとつ。
イマジカBSの放映でようやっと観ることが出来ました!
〈2月24日(月)10:30〜13:30視聴〉

舞台は、
第二次世界大戦のきっかけとなったポーランドの自由都市『ダンツィヒ(現:グダニスク)

3歳の誕生日プレゼントにブリキの太鼓をもらった少年オスカルは、
周りの下衆な大人たちに嫌気がさし、
階段からわざと落下して自ら身体の成長を止めてしまう(大人になることを拒絶する)。
また、この事件をきっかけに、
太鼓を叩きながら奇声を発することで周囲のガラスを破壊するという不思議な能力を得るのだが…。
そんなオスカルの子供(?)目線からみた、
1927年から1945年にかけての激動の時代を描いた異色の大作。

この映画では、
戦争によって破壊されていくポーランドの悲劇が一風変わった視点
(時にはコミカルでもある)で描かれています

今回自分が観たのは、未公開だった20分の映像を復活させた『ディレクターズ・カット』
当時の配給先との契約上の理由から泣く泣くカットした部分を追加し、
さらに再編集を施したものだそうです(なんと164分!!!)。

にしても、ああ・・・この映画も見事、想像の斜め上をいってますねえ。
登場人物、みんなトチ狂ってる・・・。
彼らの奇怪な行動・シュールなエピソードの連続ですっかり毒っ気にあてられてしまったのか、
観終わった後は凄まじく妙な気分。

オスカルの周りの大人たちは確かに酷い。
特に性的欲望に対してあまりにも節操がなくてだらしない。
でも、社会情勢的に不安定なあの状況。
諸々の不安・不満の捌け口としては手っ取り早い手段だったかもなと考えると
なんだかヒトの本能のもの悲しさも感じる。

オスカルオスカルで、
大人になることを嫌がっておきながら性欲だけはいっちょまえなんだよな〜。
しかも、大人にムカついた時、
奇声を発して周囲のガラスを割る時の全く可愛げない顔つきは秀逸(笑)。
オスカル役のダーヴィット・ベネントの演技サイコーだった!〉
劇中で起こるいくつかの悲劇と諸悪の根源は
オスカルにあった(自覚もしてる。大人たちへの抗議?)し、
タチの悪さでいえば大人と良い勝負。

でも、こういう狂気的な展開だからこそ、あの終り方はより一層響くものがあったのかも。
特にオスカルのおばあちゃんの最後のセリフと表情にグッときました

私は、大まかなあらすじ読んだ以外は、特に前知識を持たないままこの映画を観たけど、
ダンツィヒにおける歴史や背景を知ったうえで鑑賞にのぞめば、もっと深い解釈ができそうです。

あ、あと、ひと様の感想を拝見すると、「グロかった」「気持ち悪かった」シーンとして、
牛(馬か?)の頭やら耳から垂れ流しのように鰻がデロデロ出てきたりとか、
アグネスオスカルの母ちゃん)が生魚むさぼり喰う辺りが特に多くあげられているようだけど、
私は割と平気でみれた。
ちなみに自分的に一番ムリ!ダメ!だったのは、
粉末ソーダ(?)に唾をベッと落としシュワシュワさせてから
舐めたり舐めさせたりするシーンでした…。

子供の頃に出会ってたらトラウマ必至だったかも。
でも、これはぜひ観ておいた方が良い傑作だと思いました。

ブリキの太鼓 ディレクターズカット ブルーレイ [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2012/11/21
  • メディア: Blu-ray

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