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「ヴィジェ・ルブラン展」 [*アート鑑賞]

ヴィジェ・ルブラン展チラシ.jpg

これも行ってから随分日にちが経っちゃったけど、
先月4月26日(火)、三菱一号館美術館で開催されていた
「マリー=アントワネットの画家 ヴィジェ・ルブラン展
 —華麗なる宮廷を描いた女性画家たち—」に行って来ました。
ちなみにこの企画展へは、
前回の記事で書いた「ヘンリー・ダーガー展」の鑑賞後に行きました。

昨年秋に行った、新宿・損保ジャパン東郷青児美術館にて開催の
「ウフィツィ美術館 自画像コレクション」展
ヴィジェ・ルブランの自画像を観て、
透き通るようなタッチの素敵さに思わず一目惚れ。
チラシで今回の企画を知り、
「これはぜひ行かねば!」と心待ちにしていました。

三菱一号館美術館_01.jpg

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こちらもかなり混み混みだったのよねえ…。
原宿のダーガー展ほどじゃなかったけど。
でも期待を裏切らない内容で、行って良かったです!


『フランス革命により、断頭台の露と消えた王妃マリー=アントワネット。
本展は、奇しくも彼女と同じ年1755年に生まれたひとりの美貌の女性画家ヴィジェ・ルブランを軸に、「女性の時代」とも呼ばれる18世紀フランスの優れた女性美術家たちの作品に焦点をあてた、世界的に見ても稀な展覧会です。

画家の家に生まれ、幼くして才能を現したエリザベト・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン(1755-1842)は、本格的な画家としての道を志します。
やがてヴェルサイユにあったルイ16世の宮廷に出入りするようになり、そこでマリー=アントワネットと出会いました。
王妃と親しく心を通わせる友人ともなったヴィジェは「王妃のお抱え画家」として幾点もの見事な王妃の肖像を筆頭に、王族や貴族たちの肖像、そして自身の美しい「自画像」の数々を通して、宮廷とそこに生きる人々の華やかな姿を描き留めていきました。

1783年にはライバルの女性画家ラビーユ=ギアールと共に王立絵画彫刻アカデミーの会員として迎えられ、ヴィジェの名声はヨーロッパ中に鳴り響きますが、1789年に勃発したフランス大革命がその運命を決定的に変えます。
9歳の一人娘を連れてフランスを逃れたヴィジェは、他国を転々としつつ亡命生活を送る傍ら制作を続け、12年後にようやく故国に戻りましたが、そこで彼女が眼にしたものは、すっかり変貌を遂げていた社会でした。
ブルボン家による君主制は革命の流血の中に崩壊し、やがてナポレオンの帝政を経て、新しい市民の時代が始まろうとしていたのです。

彼女のような女性美術家たちが生きたのは、華やかな18世紀の旧体制から質実で合理主義的な19世紀市民社会に移り変わろうとする激動の季節でした。
時代に翻弄されながらもたくましく制作していった彼女たち。直面した様々な問題に触れながら、作品に託された女性としての感受性と創作者としてのメッセージを読み取ろうとするのがこの展覧会です。』
【「ヴィジェ・ルブラン展」チラシ内紹介文より抜粋(少し編集してます)】


今回は、マリー=アントワネットの肖像を含む
ヴィジェ・ルブランの作品23点を中心とした
女性芸術家たちの作品が約80点展示されていました。

柔和で優しい表情をたたえた絵画の中の女性たち。
ドレスの光沢感、女性の髪のふんわり感、レースの細やかな透けてる感、
まるで写真と見紛うかのような金色リボンの見事なテカり&ヌメり感。
素晴らしい!

ヴェルサイユ宮殿の中国風居室の彩色パネルの展示もあり、
これらの作品群も東洋らしい鮮やかな色使いで眼を引きました。

どの作品もパッと見、華やかな雰囲気に溢れているので、
その綺麗さ上品さにばかり気を取られがちになるけど…。
上述の紹介文を読んだうえで鑑賞に臨むと、
また違った見方も出来るし、なかなか考えさせられるものがありますね。

中でも特に気に入ったのは、
〈III フランス王妃、マリー・レクジンスカの「中国風居室」〉より
 *フランス王妃、マリー・レクジンスカ「麻雀の勝負」「音楽のレッスン」
〈IV 「女性の世紀」とその再評価〉より
 *マリー=ジャンヌ・ドレ「バラを持つ若い娘」
 *マリー=シュザンヌ・ジルースト、ロスリン夫人「シュザンヌ・ル・ロワ」
〈VII ラビーユ=ギアールとヴィジェ・ルブラン〉より
 *マリー=ガブリエル・カペ「自画像」(1783年頃)
 *エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン「ポリニャック公爵夫人、ガブリエル・ヨランド・クロード・マルティヌ・ド・ポラストロン」(1782年)、「クリュソル男爵夫人、アンヌ=マリー・ジョゼフィーヌ・ガブリエル・ベルナール」(1785年)、「プゼ侯爵夫人とルージェ侯爵夫人とふたりの息子のアレクシとアドリアン」(1787年)
〈VIII フランス革命とヴィジェ・ルブランの亡命〉より
 *エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン「自画像」(1791年)、
[↑「ウフィツィ美術館 自画像コレクション」展でも展示されていた作品]
  「ユスーポフ公爵夫人、タチアナ・ワシリエワ」(1797年)
〈IX 新しい世代〉より
 *ジャン=オノレ・フラゴナールとマルグリット・ジェラール?「盗まれた接吻」
 *アントワネット・セシル・オルタンス・オードブール=レスコ、旧姓ヴィエル「粋なふたり」


「ヴィジェ・ルブラン展」を鑑賞後は、ちょっと中庭の散歩を。
なかなか綺麗なところだったので、何枚か写真を撮りました。

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ヘンリー・ムーア「腰かける女」(1957年)


三菱一号館美術館_05.jpg
淀井敏夫「ローマの公園」(1976年)

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「ヘンリー・ダーガー展」 [*アート鑑賞]

ヘンリー・ダーガー展チラシ.jpg

仕事やらなんやらでなかなか記事が書けず
もう1ヶ月近くも経ってしまったけど、
先月4月26日(火)、ラフォーレミュージアム原宿で開催されていた
「ヘンリー・ダーガー展
 アメリカン・イノセンス。純真なる妄想が導く『非現実の王国で』」
行って来ました。

ラフォーレミュージアム原宿_01.jpg

ラフォーレミュージアム原宿_02.jpg

Twitterでもちょっと書いたけど、
この企画展が開催されることを知った時は本当に嬉しかった。

確か2年位前だったかな?
とあるきっかけで彼のことを知り興味を持ったのだけど、
2007年に原美術館でダーガー展が開催されていたことを知り、
「ああ、もっと早く出会っていれば…!」
当時は非常〜に悔しい思いをしたものです(泣)。
翌2008年には映画も公開されていたことを後から知って、
その時はソッコーでDVD買いました。
これもちゃんと映画館で観たかったなあ…。

そういった思い出(?)もあって
今回の企画は本当に嬉しくありがたかったのです。

原宿という場所柄もあるのだろうけど、
平日にもかかわらずかなりの混雑&盛況ぶり。
みんな、とても熱心に展示作品や上映映像に見入っていて、
彼や彼の作品に惹かれる人がいかに多いかを実感しました。

家族も友人もなく孤独な生涯を過ごしたダーガー
数十年もの歳月を費やし、誰にも知られることなく綴り描き続けた
空想物語『非現実の王国で』の世界観に
私自身もたくさんの感銘・衝撃を受けて帰って来ました。

子供を奴隷として虐待する邪悪な「グランデリニアン」を相手に
壮絶な闘いを繰り広げる7人の無垢な少女「ヴィヴィアン・ガールズ」
彼女たちの活躍ぶりが
15,000ページを超える原稿と数百枚に及ぶ挿絵の中で
躍動感たっぷりに描かれています。

純粋であるとともに強烈なまでの表現力!

実生活は寂しく味気ない日々だったろうけど、
自室に籠り、空想に耽り、思いのままに創作する時間だけが
彼にとっての拠りどころだったと聞きます。
人に見せるためでも、余暇の楽しみでもなく、生きることそのもの…。

一体、彼はどんな気持ちで何を思いながら
あの一大巨編を紡ぎ上げていったのだろう。

ダーガー自身は、自分が死んだ時には全ての持ちものを焼却してほしいと
願ったそうだけど(私ももし彼自身だったらきっとそう思うだろうな…)、
やはり私たちは彼の存在を
ただひたすら心の中に繋ぎ止めておきたいと思わずにはいられないんだ。


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