「香り かぐわしき名宝展」 [*アート鑑賞]
5月24日(火)、東京藝術大学大学美術館で開催中の
「香り かぐわしき名宝展」に行って来ました。
(ぐるっとパスを利用)
「香り」にまつわる様々な日本美術作品とともに、
目に見えない「香りの魅力」を多種多様な形で楽しめるという、
とても面白い趣旨の企画展でした!
日本人と香りとのかかわりを
名宝の数々を通じて概観する『香りの日本文化』。
室町時代以降、茶道や華道とともに独特な発展を遂げてきた香道の世界を
香道具や史料を交えて紹介する『香道と香りの道具』。
江戸時代から近代にかけての絵画作品の中から
〈描かれた香り〉をテーマに精選された名作を展示する『絵画の香り』。
…という3つの大きな柱で構成されています。
白檀など芳香を発する壇木を用いた仏像、
枕の内部に香炉を置き髪に香りを焚きしめるという枕香炉、
貴重な香木類(実際に触ったり香りを嗅いだり出来るものも!)、
香木を聞き分けて駒を進める遊びに使用するための盤(だったかな?)などなど、
展示内容はかなりバラエティに富んでいました。
普段、上品とは程遠〜い生活をしている私もすっかり雅な気分に。
浮世絵、美人画、水墨画など、
香りを想像させる絵画を集めた展示も興味深かったです。
速水御舟は『芸術の上に常に欲しいと思ふのは芳しさです』という
言葉を残しているそうです。
絵画を通して繊細優美な世界をじっと眺めていると、
本当に香りを感じられるような気がしてきました。
特に気に入ったのは、
●「花籠形釣香炉」(銀製、江戸時代18世紀)
銀の細い針金を編んで作った花籠の周りに花や小鳥や蝶があしらわれた立体的な香炉。
細やかな作り込みに驚かされました。持ち帰りたかったわあ(←オイオイ)。
●三代歌川豊国「源氏後集余情」(大判錦絵、安政4〜5〈1857〜1858〉年)
色使いの綺麗さにハッとさせられました。これも持ち帰りた(ry
●池 大雅「天産奇葩図巻」(紙本墨画、寛延2〈1749〉年)
27歳の時にこれを描いたらしい。凄いな…。
●上村松園「楚蓮香」(絹本着色、大正3〈1914〉年頃)、
「楚蓮香之図」(同左、大正13〈1924〉年頃)
上村松園の絵は何度観ても魅惑的。この別格な美しさ…たまりません。
●鏑木清方「菊寿盃」(絹本着色、昭和11〈1936〉年)
鏑木清方の描く美人画もぐっときますね。匂い立つような色気にウットリ。
●速水御舟「夜梅」(絹本着色、昭和5〈1930〉年)
月光の下、木々の間からほのかに漂う花の香りを「暗香疎影」というそうです。
シンプルな構図でありながら、それを見事に具現化したこの作品。ただただ秀逸の一言!
●小茂田青樹「緑雨」(絹本着色、大正15〈1926〉年)
同日、同じ画塾に入門した速水御舟とは終生のライバル関係にあったそうです。
優しい色使いとタッチに癒されました。雨の日もいいなと思わせてくれる作品。
いや〜、楽しかった!
こういうユニークな企画展、またやって欲しいなあ。
「香り かぐわしき名宝展」鑑賞後は「芸大コレクション展 —春の名品選—」へ。
こちらも見応えのある素晴らしい作品ばかりでした。
国宝や重要文化財を含む名品の数々を間近で鑑賞出来るなんて
本当に貴重な体験だと思います。
ますます美術鑑賞が好きになりました。