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「星を賣る店 クラフト・エヴィング商會のおかしな展覧会」 [*アート鑑賞]

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3月11日(火)は、世田谷文学館で開催中の
『星を賣る店 クラフト・エヴィング商會のおかしな展覧会』に行って来ました。
ぐるっとパスを利用)

や〜、この企画展は、一年近く前からず〜〜〜っと楽しみにしてたもんで、
当日は朝から嬉しくて嬉しくて!

まずはチケットひとつを取っても、キラリと光るセンスが素敵
さりげないながらも洗練されてて…流石です。

星を賣る店チケット.jpg

ちなみに、真ん中でくり抜かれた星型の行方は・・・?
展覧会を訪れた人だけが知ってるヒミツ。

受付でチケットを渡すと『moon shiner[月下密造通信]』の号外が貰えます。
(ひろげると新聞と同サイズ。壁新聞に見立てて作られたそうです)
これも嬉しい!

moon shiner号外.jpg

クラフト・エヴィング商會(craft ebbing & co.)とは、
吉田浩美さん&吉田篤弘さんによるユニット名。
著作の執筆、および装幀を中心としたデザイン・ワークで活躍中です。

自著に登場する架空の品々を「ないもの、あります」の謳い文句のもと、
さまざまな手法によって具現化。
それらは「作品」ではなく、あくまで『クラフト・エヴィング商會』という
セレクト・ショップが仕入れた「商品」として取り扱われています。
そのため、今回の企画展では、
従来のアート展のようにガラスケースや額縁の中に収められているのではなく、
まるで「棚卸し」中の部屋にいるかのような場内レイアウトに。
白いボール紙の箱を無造作ぽく積み上げた上に「商品」が展示されています。
(一部の作品のみガラスケース内展示)
う〜ん、ホント、彼らのアイデアや演出は何から何までユニークだなあ。

この世に「ないもの」を取り寄せるお店。
ここの「商品」たちが、心くすぐる品名&由来、そして遊び感覚溢れる素敵なデザインばかり
と〜ってもワクワクさせてくれるんですよ!!
クラフト・エヴィング商會の名を知らなくても、
「商品」を一目見た途端ファンになっちゃう人、きっと多いんじゃないかな。

『すぐそこの遠い場所』『クラウド・コレクター』の中の写真でしか見たことなかった
あれやこれやがこの目で直にみれるなんて感激!!

「商品」の紹介も書き出したいところだけど、
あれもこれもと欲張るとキリがなくなってしまうので(笑)ココでは2点ほど…。

商品番号|1665番「エピファイト(Epiphyte)」
『「私の詩は読むものではなく味わうものなのです」
 そう言って、詩人は細長いキャンディーのようなものを取り出した。
 一本が詩の一行になっているという。
 口の中で溶けて詩になって、あとには何ものこらないそうだ。』

商品番号|6024番「星屑膏薬(Stardust Lip Cream)」
『無色透明にして無香、うっすら唇に塗っておくだけで、夜の空気が涼やかさを増し、
 あたかも宇宙が体内にひろがってゆくような感覚を得られます。
 その味わいは、この世で最も大きな「からっぽ」の味わいであるとか。』

もうひとつの部屋には、
なんと!架空のお店『古書 一角獣』までもが具現化されています。

そのお店のショーウインドウの中に並べられた古書の横っちょにあった解説文で
新たに知ったこと・・・それは『クラフト・エヴィング商會』の屋号の由来
性的倒錯の研究者であった、
リヒャルト・フォン・クラフト=エビング男爵(Richard Freiherr von Krafft-Ebing)
稲垣足穂の文章「craft ebbing」
…から、クラフト・エヴィングの屋号が生まれたそうです。
足穂のスペリングのミスもそのまま継承)
また、『星を賣る店』の表題も稲垣足穂の小説から拝借されているのだとか。
そっかあ〜。稲垣足穂の小説に興味がわいてきたなあ。
私も今度読んでみようかな。

最後のスペースには、
クラフト・エヴィング商會のお二人がこれまでに手掛けた書籍の装幀デザインの数々
壁面にズラリと展示されています。
なんと、高等学校の教科書(三省堂/現代文・古典)の装幀とレイアウトまで!
しかも、現代文の教科書には『ないもの、あります』の中から三篇ほど掲載されているとか!
近頃の高校生、羨まし過ぎるぞ!!!

会場出口付近に置かれた、終わりの挨拶文も素敵。
『開業以来、一貫して試みてきたのは、「物語の扉」を提示すること。
 物語の起承転結を丸々ではなく、物語に通じている扉を、
 この世の様々なところに見つけ出すこと。』

『架空の国へ旅したことはない。すべては日常から生まれた。』

本当に楽しくて素晴らしい展覧会でした!
行って良かったあ!!

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コレクション展『旅についての断章』

『星を賣る店 クラフト・エヴィング商會のおかしな展覧会』の次は、
文学館1階で開催されているコレクション展を鑑賞。
世田谷文学館に収蔵されている9万点を超える資料の中から、
〈旅〉にまつわる資料に焦点を絞り、作家たちの物語とともに紹介されています。

作家にとって、
創作活動の原動力であり、豊かな表現を見出すためのプロセスでもある〈旅〉。
生原稿や自筆の手帳、旅先の出来事を綴った手紙に葉書、スケッチなどなど…。
それらをじっと眺めていると、
手書(描)きならではの温かみがじんわり伝わってくるようで、
なんだかちょっと幸せな小旅行気分を味わえました。

北杜夫の愛用した登山用具や航海で使用したトランク、
これから読んでみたいなと思ってる萩原朔太郎海野十三の資料も展示されていて、
こちらの展示も興味深かったです。

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★★★『ムットーニのからくり劇場』★★★

コレクション展と同じく1階展示室にて開催中。
文学作品の一場面を、小さな箱の中の舞台と人形、音と光で表現する
『ムットーニのからくり劇場』も良かったです。

美術家・自動人形師である武藤政彦氏の呼称「ムットーニ(MUTTONI)」
今まで、名前だけは何度か見かけた記憶あるけど、彼の作品をちゃんとみるのは初めて。

展示品の中には、
レイ・ブラッドベリ『万華鏡』「刺青の男」より)をモチーフにした
からくり作品もあって、見つけた時はテンション上がりました!
タイトルは、『Alone Rendezvous』
(2006年/音楽:マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲)。
今回は残念ながらタイミングが合わず、実演鑑賞は叶わなかったけど、
小箱の中で動く宇宙世界…みたかったな〜。

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鑑賞後は、文学館内併設の「喫茶どんぐり」で遅い昼食を。
この日は、ドライカレーピラフとアイスコーヒーをいただきました。

帰る前に『星を賣る店』の図録(商品目録)を購入。
こちらも充実の内容でオススメ♪(平凡社から一般書籍として販売されてます)

星を賣る店図録.jpg

この日の唯一の心残り・・・
それは、『商品番号|8233番「昼と夜のライス・チョコ」』
売り切れてて買えなかったこと><
(限定商品で、一日に30食のみの販売っていってたかな?)
チープではない大人のライス・チョコ
白と黒の二種類で、白は昼のおやつ、黒は夜のおやつ
あ〜、私も食べたかったよ〜〜〜。

世田谷文学館_04.jpg

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