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ジョルジュ・バタイユ「マダム・エドワルダ」 [*読書ノート(海外)]

【※この日記は別サイトで2009年2月17日にアップしたものを転記しています】

 

マダム・エドワルダ―バタイユ作品集 (角川文庫クラシックス)

マダム・エドワルダ―バタイユ作品集 (角川文庫クラシックス)

  • 作者: G.バタイユ
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1976/02
  • メディア: 文庫

 

1月26日から読み始め、2月11日読了。

図書館から借りてきたもの。

 

バタイユを知った元々のきっかけは、10〜20代の頃、大好きでよく読んでいた丸尾末広の漫画からです。

 

昔、ペヨトル工房という出版社(「夜想」とか出してるところ)から「銀星倶楽部」という漫画誌が出ていて、そこで掲載されていた丸尾先生のインタビューを読んだことから「ジョルジュ・バタイユ」という名前を初めて知りました。

 

まあ、当の丸尾先生いわく「バタイユを漫画の中に持って来たのは、別に作品から影響受けたわけでもなんでもなく、単に『眼球譚』ってタイトルが気に入っただけ」、「バタイユの深刻なエロティシズム哲学を根こそぎ表層化して暴力として出したかっただけ」…とのことですが。

 

…てな感じで、丸尾先生自身は、思想家/作家としてのバタイユについてはさほど問題にしてなかったみたいなんだけど、元ネタとしてどんな内容なのかはずっと気になってたので、図書館で文庫本見つけたのを機会に借りてみました。

 

(バタイユといえば、昔、マダム・エドワルダっていうポジティブパンク系のバンドがあったなあ。(曲は聴いたことないんだけど)メンバーの中にバタイユ好きな人がいたのかな?)

 

今回読んだのは角川文庫版の方で、収録作品は、

『マダム・エドワルダ』《筆名:ピエール・アンジェリック》

『死者』

『眼球譚』《筆名:ロード・オーシュ(便所神)》

『エロティシズムに関する逆説(論文)』

『エロティシズムと死の魅惑 —講演・討論会記録—』

 

ウフフ…論文の方は…正直言ってちんぷんかんぷん、講演内容も自分の脳みそには超難解、後述の討論会で多少は補足説明されてるものの、わかった「つもり」レベルにすらなれませんでした…[たらーっ(汗)] 先に「バタイユ入門」読んどいた方が良かったかな(^^;

 

小説3編の方は、過激で狂気じみた内容に引っ張り込まれたというのもあって、かなり興味深く読みました。露骨なエロではあるんだけど、無軌道っぷりの方が勝っている感じでなかなか良いです。

 

『マダム・エドワルダ』『死者』も良かったけど、3編の中では『眼球譚』が一番面白いなと思いました。

 

『マダム・エドワルダ』は短編ながらも、悲痛さ、陰鬱さ、狂気、滑稽さ、他にもいろんなものがゴッタ煮状態で突っ走ってて、最後になって「アレ?もう読み終わっちゃった?」という感じで、まさに面食らいっぱなしの不思議な余韻が残る作品でした。

 

『眼球譚』は、『マダム〜』とはまた違い、ギラギラした強烈さを感じる作品。

第一部の「物語」と第二部の「暗合」で構成されてるんだけど、第一部の後半部分に当たるスペインの灼熱の空の下で起こった出来事の印象が最も強いせいで、余計にギラギラしたイメージが定着してるのかも。

また、この話、とにかく「球体(眼球、玉子、●●)」がよく登場します。

第一部を読んだだけだとこれらの繋がりが突飛過ぎて「なぜ球体???」って感じなんだけど、第二部の「暗合」を読むと、バタイユの数々の実体験や記憶のイメージなどの諸事物が実は密接に繋がり合ってることがわかってきます。

 

************

 

ココから先は完全に余談&自分語りですが、私は好きな人物&作品には非常〜に感化されやすいミーハーです。

なので、その作品の元ネタとか好きなバンドや作家のルーツ&オマージュの対象を知ると、気になってつい音楽やら本やら映画やらを追っかけたくなってしまいます。

 

当時、丸尾先生から影響受けて興味を持ったものも多く、思えば、夢野久作ジョイ・ディヴィジョン「カリガリ博士」「ノスフェラトゥ」などの古典白黒映画、東京グランギニョル(解散後に知ったので、リアルタイムで公演を観れなかったことがいまだに悔しい!)、片山健(初期の画集を一度でいいから生で見たい…)etc. を知ったのもぜ〜んぶ丸尾末広の影響!

どれもこれも初めて聞く名前ばかりだったけど、アングラな世界にちょっとばかし触れられた気がしてすごくワクワクしてました。

 

丸尾先生の作品、最近のは全然読んでないので、また本屋に探しに行こうかな。

 

************

 

…って、また長くなっちゃった。

独り善がりな文章ですが、もし最後まで読んでくれる人がいたら感謝しますm(_ _)m


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コメント 4

めだま


急なコメントすみません!!
ネットでこの本の詳細探しててたまたま通り過ぎました☆

眼球譚は買ったんですが単行本で読みにくいなぁ~
・・・と思ったらネット購入したこの文庫に収録されてるんですね!!

届いたら即効読み尽くしたいと思います!!
いきなりのコメント失礼しました!
by めだま (2009-11-28 15:21) 

REE

はじめまして。
バタイユで検索してたどりつきました。
「マダム・エドワルダっていうポジティブパンク系のバンド」は最近復活してオフィシャルサイト(http://www.madameedwarda.com/)もありますよ。是非、聞いてみてくださいね。
by REE (2009-12-13 13:48) 

ヘリベリ

めだまさん:
はじめまして。ご訪問&コメントをいただきありがとうございました!

今月入ってからずっと仕事でバタバタしてしていたため、せっかくコメントいただいておきながらお礼がすっかり遅れてしまいました。大変失礼いたしました。

ネットを通じて、同じ作品・同じ文庫本を読んでる方が他にもいらっしゃるんだ!というのがわかると、やっぱり嬉しい気持ちになりますね。
特に宣伝もせず一人でひっそりと書いているブログなので、検索ワードで見つけてくださった方のご訪問は本当に嬉しく思います。
拙い文章におつきあいいただき、こちらこそありがとうございました。
by ヘリベリ (2009-12-14 14:45) 

ヘリベリ

REEさん:
はじめまして。ご訪問&コメントをいただきありがとうございました!

マダム・エドワルダの公式サイトのご紹介もありがとうございます。
2009年に入ってからの再結成なのですね。

今となっては入手困難でしょうが、チャンスがあれば80年代の音源をぜひ聴いてみたいものです。
by ヘリベリ (2009-12-14 14:47) 

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