伊藤計劃「虐殺器官」【2】 [*読書ノート(国内)]
フィクションながらも〈文法〉と〈テクノロジー〉の在りように戦慄。
これを読み始めたばかりの時に書いた記事でも触れたけど、
『2001年宇宙の旅』
『頭文字D』(←直接的な表記はないけど、ファンならすぐわかるアレが登場)
『ジャクソン・ポロック』
…と、ワテクシ的にビビッとくるワードが序盤から散りばめられてるもんだから、
趣味趣向がかなり似てるかも!と作者氏に勝手ながら親近感。
そんなとっかかりのおかげもあって、最後までぐいぐいと読めちゃいました。
中盤以降も、
『J・G・バラード』
『リドリー・スコット』
『リゲティ』(現代音楽作曲家。前述の「2001年宇宙の旅」でも彼の曲が使われている)
『テリー・ギリアム』
…などなど、
これらのワードに何かしら響くものをお持ちの方は思わずニヤリとしちゃいそうですね。
近未来SFで軍事ものなので特殊な用語が多用されているものの、
文章自体は読みやすく頭の中にスラスラ入ってくる感じ。
また、文庫版の最後に収録されている解説、
および伊坂幸太郎氏・小島秀夫氏のコメントにもあるように、
「語り口の繊細さ」もこの小説の魅力のひとつだと思います。
ただならない殺伐としたタイトルに違わず、
主人公のクラヴィス・シェパード大尉はじめ登場人物たちも
圧倒的な現実の中でエライことになっちゃってるんだけど、
細やかで淡々とした一人称の語り口で終始貫かれている。
このズレ感がフックとして良い意味で利いていて、倍面白いと感じました。
ネタバレしたくないからあんまり書けないけど、ラストの感想は「マジかよ・・・」でした。
2015年の劇場アニメ化、どんな作品に仕上がるのか楽しみ。
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