ひとり美術館ハシゴ【44】 [*アート鑑賞]
4月10日(金)は、
国立新美術館、サントリー美術館、FUJIFILM SQUARE 写真歴史博物館に行って来ました。
●国立新美術館で「ルーヴル美術館展」を観る
(ぐるっとパスを利用)
↓
*徒歩で移動。
↓
●サントリー美術館で「若冲と蕪村」展(前期)を観る
(WEBクーポン割引を利用)
↓
*徒歩で移動。
↓
●FUJIFILM SQUARE 写真歴史博物館で「ピクトリアリズム」展を観る
(観覧料無料)
…と、今回はこんな感じの流れで3つの企画展を回りました。
■ 国立新美術館 ■
「ルーヴル美術館展 日常を描く—風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄」
「風俗画」とは、人々の日常生活の情景を描いた絵画です。
家事にいそしむ召使い、物乞いの少年、
つましい食卓につく農民の姿、庭園に集う貴族の男女など、
身分や職業を異にするさまざまな人々の日常がいきいきと描写されています。
一方で、風俗画には必ずしも現実が描かれているわけではありません。
日常の装いの中に、複雑な道徳的・教訓的な意味が込められていることもあります。
これらを読み解いていくことも、風俗画ならではの楽しみといえます。
本展では、16世紀初頭から19世紀半ばまでの約3世紀半にわたるヨーロッパ風俗画の展開を、
ルーヴル美術館の珠玉の名画、約80点によって紹介します。
フェルメールの傑作《天文学者》が初来日するほか、
ティツィアーノ、レンブラント、ルーベンス、ムリーリョ、ル・ナン兄弟、
ヴァトー、ブーシェ、シャルダン、ドラクロワ、ミレーなど、
各国・各時代を代表する巨匠たちの名画が一堂に会します。
(『ルーヴル美術館展』チラシの紹介テキストより抜粋)
やっぱり、
●ヨハネス・フェルメール『天文学者』(1668年)の前は人でいっぱい!
まあ、「いっぱい」と言っても、少し時間を置いて待てば、
ちゃんとじっくり正面から観れる程度の人混みだったので問題ナシ。
絵画のサイズ自体は小さいので、ギャラリースコープがあればもっと良かったけれど。
特に気に入ったのは、森の緑がとても綺麗な、
●パウル・ブリル『鹿狩り』(1590〜1595年頃)。
『ルーヴル美術館展』鑑賞後は、
館内2階のサロン・ド・テ ロンドで一休み。
「ルーヴル美術館展」特別メニュー、
マスカルポーネのムース チョコレートソース ドリンク付きケーキセットをいただきました。
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ《鏡の前の女》(1515年頃)の絵画の印象から、
女性の透き通るような白い肌と鏡を表現しているそうです。
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■ サントリー美術館 ■
「生誕三百年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村」(前期)
正徳6年(1716)は伊藤若冲と与謝蕪村が誕生し、
江戸時代の画壇にとって、ひとつの画期となりました。
伊藤若冲(享年85、1800年没)は、京都にある青物問屋の長男として生まれ、
23歳のときに家業を継ぎますが、40歳で隠居して本格的に絵を描くことに専念します。
極彩色の作品を描きながら、水墨画や版画など個性的な作品を数多く残しました。
一方、与謝蕪村(享年67、1783年没)は、大坂の農家に生まれ、
20歳頃には江戸へ出て俳諧を学びます。
27歳のときに、俳諧の師匠の死を機に、北関東や東北地方をおよそ10年間遊学します。
その後、40歳頃から京都へ移り、俳諧と絵画のふたつの分野で活躍しました。
若冲は彩色鮮やかな絵や動物を描いた水墨画を得意とし、
蕪村は中国の文人画の技法による山水図や
簡単な筆遣いで俳句と絵が響き合う俳画を得意としていました。
一見すると関連がないようですが、
ふたりとも長崎から入ってきた中国・朝鮮絵画などを参考にしています。
本展覧会は、伊藤若冲と与謝蕪村の生誕三百年を記念して開催するもので、
伊藤若冲 筆《象と鯨図屏風》や
92年ぶりにその存在が確認され、展覧会に初めて出品される与謝蕪村 筆《蜀桟道図》をはじめ、
若冲と蕪村の代表作品や関連作品を展示いたします。
(『若冲と蕪村』チラシの紹介テキストより抜粋)
一番良かったのは、
●伊藤若冲 筆『果蔬涅槃図〈かそねはんず〉』(江戸時代/18世紀)。
ポストカードも買っちゃった♪
(写真下にあるのは、オレンジと黒の色使いが可愛い和蘭人シール。
『色絵五艘船文独楽形大鉢』〈江戸時代/重文〉)
釈迦入滅の様子を描いた涅槃図を、60種以上の野菜や果物に置き換えて表現した
若冲の晩年期水墨画の傑作。
画面中央、伏せた籠を寝台として横たわる二股大根が釈迦。
その周りを囲んで釈迦の死を嘆き悲しむ菩薩や仏弟子、動物たちの姿が、
カブやニガウリ、ミョウガ、ヘチマ、ヒョウタン、クチナシなどによって表現されています。
彼らの背後に林立するのは、8本の沙羅双樹に見立てられたトウモロコシ。
ユーモラスで今にも色を帯びて動き出しそう。
嘆き悲しみだけでなく、命を持つあらゆるものへの慈しみも込められているような。
制作の動機については、母の死を契機として、
母の成仏と引き換えに家業の青物問屋の繁栄を願ったとする説が有力視されているのだそう。
他に気に入った作品は…
月光を浴びた夜の梅がとっても幻想的な、
●伊藤若冲 筆『月夜白梅図』(江戸時代/18世紀)。
ふたつの絵の様々な対比(激しさと静けさ、風雨の音と雪の無音、一羽と二羽など)が目を引く、
●与謝蕪村 筆『鳶・鴉図』(江戸時代/18世紀/重要文化財)。
そして、今回の目玉でもある、
●伊藤若冲 筆『象と鯨図屏風』(江戸時代/寛政9〈1797〉年)の
白と黒、陸と海の対比も面白い。
●伊藤若冲 筆/梅荘顕常 賛『白梅錦鶏図』(江戸時代/18世紀)や、
●伊藤若冲 筆『蔬菜図押絵貼屏風』(江戸時代/寛政8〈1796〉年)も良い。
若冲先生は、極彩色を駆使した鶏や花や植物の描写はもちろんのこと、
水墨画における筆の勢いや濃淡のつけ方もいちいち凄い。
筋目描き(すじめがき:画箋紙〈がせんし〉とよばれる紙がもつ、隣り合った墨が
混じることなくその境目が筋のように白く残る性質を利用した描き方)の技法による
作品群も紹介されていて、勉強になる。
それと、『果蔬涅槃図』といい『蔬菜図押絵貼屏風』といい、
何の変哲もない野菜でさえも絵の中で活き活きと活躍させちゃうセンスはピカイチ。
俳画という新しい分野を開拓し、その第一人者となる蕪村先生は、
筆運びがさりげないようでいて、力強さと繊細さとの絡みが絶妙。
人物のユーモラスな表情も良い。
そして、余白を活かした構図センスも秀逸。
●『山水花鳥人物図』(江戸時代/18世紀)が観れなかった(4/6で展示終了してた)のが残念。
絵師として従来の作品に満足することなく、
新しい技法に挑戦し続けた凄いお方はここにも。
当然、図録は買い!!!
もともと若冲ファンというのもあり、
最初は正直、ほぼ若冲の絵目当てで行った展覧会だったけど、
蕪村の画業を知る、良いチャンスでもあった。
一人の好きな画家をきっかけに、他の素晴らしい画家を知ることが出来るのも、
美術展の醍醐味のひとつ。
有意義な良いコラボ展でした。
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■ FUJIFILM SQUARE 写真歴史博物館 ■
「ピクトリアリズム —近代写真の夜明け—」
「ピクトリアリズム(絵画主義)」とは、
19世紀末から20世紀初頭にかけて一世を風靡した写真の潮流です。
それまで写真は画家の下絵、あるいは科学者や技術者の研究記録の道具として
その記録性のみが注目され、「画」としての評価はなされておりませんでした。
それを不満として写真を芸術と認知させるべく、
絵画的な写真を目指す運動がピクトリアリズムです。
(『ピクトリアリズム』パンフの紹介テキストより抜粋)
ここでは、近代写真の夜明け前から絵画の模倣に決別を告げるまで、
ひたすらに美を追い求めたピクトリアリズムの写真家たちの作品を観ることができます。
作品点数は20点くらいだったかな?
中でも、エミール・コンスタン・ピュヨーの写真が気に入りました。
妖精が舞い降りたかのような幻想的でロマンチックな光景が素敵。
それと、ここ写真歴史博物館では、写真の歴史・体感できるレプリカの展示・
富士フイルムの歴史を飾ったフィルムとカメラの展示を楽しむこともできます。
ポラロイドカメラとか写ルンですとかチェキとか懐かし過ぎる!
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