ひとり美術館ハシゴ【06】 [*アート鑑賞]
6月16日(木)は、
出光美術館、三菱一号館美術館、ブリヂストン美術館に行って来ました。
*東京駅から徒歩で移動
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●出光美術館で「花鳥の美—珠玉の日本・東洋美術」展を観る
(ぐるっとパスを利用)
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*徒歩で移動
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●三菱一号館美術館で
「もてなす悦び展—ジャポニズムのうつわで愉しむお茶会」を観る
(東京駅周辺美術館MAPの2館目割りを利用)
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*徒歩で移動
↓
●ブリヂストン美術館で
「20世紀フランス絵画の挑戦 アンフォルメルとは何か?」展を観る
(ぐるっとパスを利用)
…と、今回はこんな感じの流れで3館の展覧会を回りました。
■ 出光美術館 ■
「花鳥の美—珠玉の日本・東洋美術」
「花鳥」をテーマに日本・中国の書画工芸の優品を集め、
華麗で普遍的な美の魅力に迫る…という趣旨の企画展。
花や鳥たちが描かれた楽園は、キラキラとして眩い別世界です。
これはどの国のどの時代においても愛されてきた主題であり、
わが国でも古くから文学や美術の中で吉慶の印として広く用いられてきました。
彩り豊かに咲く花に、優美さを添える鳥たちの姿、
そして花や鳥たちが自然と戯れる景色が絵画や工芸の意匠にあらわされると、
心地よい不思議な空間が生まれます。
【出光美術館「展覧会案内2011.4〜2012.3」より抜粋】
出光美術館へ来たのは今回が初めて。
余談だけど、ココでひとつ目に余る出来事が。
来場者のマナーの悪さが非常〜に気になりました。
展示室内のあちこちでデカイ喋り声が響きまくりだわ、
携帯の着信音入れたまんま、しかも通話し始めるヤツまでいるわで、
かなり、というかものすごーく呆れてしまったんですケド。
ここ美術館なんだからさあ…もっと静かに楽しもうよ(怒)。
上記のふざけた連中は全員老齢者。恥ずかしくないんだろうか。
中には若い人もちらほらいたけど、
その人たちはきちんと節度をもって静かに鑑賞してたよ。
わざわざ入り口で注意書き配るくらいだから、
きっと美術館の人も日々苦労してるんだろうな…。
本当にお疲れさま様です。
しょっぱなから文句ばかり書いてしまったけど、
展示品は良かったです。
特に気に入ったのは…
●山本梅逸「四季花鳥図屏風」(1845〈弘化2〉年)
●喜多川相説「四季草花図屏風」(江戸時代)
あと、変わってるなあ…と思ったのは、
中国・北宋時代に制作されたという「白地黒掻落鵲文枕」という枕。
陶器の枕!? 頭とか首とか疲れないのかなあ。
うーん、驚きの逸品ですな。
他にも、ルオーやムンクの作品展示室、
貴重な古陶磁の陶片を集めて展示する陶片室もあって面白かったです。
鑑賞終了後、
ロビーから一望できる皇居周辺の景観をパチリ。
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■ 三菱一号館美術館 ■
「もてなす悦び展—ジャポニズムのうつわで愉しむお茶会」
ここの展示品は女ゴコロをくすぐりますねえ。
ティファニー、ミントン、ロイヤル・ウースター etc…
「おもてなし」をテーマに集められた
美しい陶磁器、銀器、ガラス作品の数々についつい見蕩れてしまいます。
19世紀後半のロンドン、パリ、ニューヨーク。
新興富裕層の台頭がめざましい欧米の各都市では、
万国博覧会の開催を機に日本に対する関心が急速に高まり出しました。
この遠い異国を連想させる品々を身近におき、
愛でようとする傾向が一般に広まる一方で、
芸術家たちは新たな創造の源をそこに見出そうとし始めます。
こうして芸術の世界にジャポニズムの旋風が巻き起こり、
欧米社会の広範な領域でさまざまな作品が生み出され、
人々の生活に新たな異国情趣を添えていったのです。
本展覧会は、上述のような流れのなかで、
イギリスやアメリカ合衆国などで創り出された美しい日常的な品々が、
どのようにして人々の暮らしに深く入り込み、
人生を豊かに彩っていったかを探ろうとする試みです。
【「もてなす悦び展」チラシ内紹介テキストより抜粋】
プロローグの「あさがおの間」で、もうつかみはオッケー!みたいな(笑)。
最初の部屋の展示は「あさがお」をモチーフにした作品でまとめられてて、
展示されているどれもが水中花のように愛らしく美しく…♪
その他の展示品も素敵!
正直、ウーンこれはどうだろうか?という微妙〜なセンスのものも
散見されたけど(←あくまで個人的な好みね)、
西洋文化と日本文化、それぞれの独特な美しさ&個性が見事に溶け合った
美しく気品溢れる作品ばかりで、とても良い目の保養タイムでありました。
あ、それと食器以外のものも展示されていて、
中でも、日本芸術を紹介するパリの雑誌(だったかな?)である
ジークフリート・ビング編「芸術の日本」(1888-1891年)の表紙デザイン、
フランスのE.A. ラ・シェーズによる油彩画「化粧する日本女性」(1890年)も
素晴らしかったです。色使いがまさに好みな感じで。
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■ ブリヂストン美術館 ■
「20世紀フランス絵画の挑戦 アンフォルメルとは何か?」
今回の美術館ハシゴも歩きっぱなしで足がかなり疲れていたのと、
朝からまだ何も食べてなかったのとで、
まずは休憩がてら併設カフェの「ジョルジェット」へ。
ジャムスコーンセットを注文。
お店の人に了解をいただいて、店内の様子も写真に撮らせてもらいました♪
さて、いよいよ鑑賞。
今回ここでのお目当てはなんといってもザオ・ウーキー「07.06.85」!
あの綺麗な青をもう一度見たいがために行って来ましたよ〜。
第二次世界大戦のパリで起こった前衛的絵画運動「アンフォルメル」。
フランス語で「非定形なるもの」を意味する言葉だそうです。
この言葉は、1950年に批評家ミシェル・タピエによって
戦後のフランスに胎動する新たな非具象的絵画として提唱されました。
この企画展で紹介されている画家たちは、
それまでの絵画の具象的、構成的、幾何学的なイメージを脱却し、
理性では捉えられない意識下の心の状態から生み出されるものの
表現を試み、新しい絵画の創造を目指しています。
抽象的作品の数々に何と感想を述べたらいいのかわからないけど、
人間の頭の中・心の中から溢れ出るエネルギッシュなパワーの凄さには
ただただ驚かされるばかり。
絵の具の厚み・質感の強烈さ…みんな挑戦的です。
ザオ・ウーキーの「07.06.85」(1985年)はもちろんのこと、
ジャクソン・ポロックの「Number 2, 1951」(1951年)に
再び会えたのも嬉しかったです。
やっぱり何度観てもスゴイな。
他に印象的だったのは…
●ジャン・フォートリエ「人質の習作」(1942年)
●藤田嗣治「ドルドーニュの家」(1940年)
あと、ピカソの「女の顔」(1923年)も興味深かった。
表面がザラついているのは、
アンティーヴの海水浴場の砂が混じっているからだそうです。
それと、もうひとつ驚かされたのが、
アンリ・ミショーの「メスカリン素描」2点(1956年、1957年)!
1954年頃からジャン・ポーランに勧められて
メスカリンなどの効用を試した時の作品らしいです。
あくまで冷静な実験なので薬の常用や依存症に陥ることはなかったそうだけど
芸術のためにそこまでやらかしちゃうチャレンジャーぶりがスゴイ。
また、所蔵館の都合で出品を見合わせた作品が5点程あったものの、
今回特別出品として、
ポンピドゥセンター フランス国立近代美術館から
ピエール・スーラージュの「絵画」(1956年/油彩・カンヴァス)が
展示されていました。
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